昔作った「USB 電源起動遅延装置」を改めて披露

私がまだ「Arduino」のアの字も知らない頃…が言い過ぎだとすると、Arduino と Algernon の区別もあまり付いていなかった頃(それもどうだか)、とあるデバイスの制御をしたくて、ない知恵を絞った結果できあがったもの。他のブログに既に書いたのだけど、もう一度再構成して御紹介しておきます。


まず、何がしたかったのかというと、USB 電源で駆動する GPS ロガーの起動を、数時間遅らせたかった。
件の GPS ロガーは USB ドングルの形状で、PC などに接続せず電源だけ投入した場合には単体でロガーとして機能するというもの。

ネットでも彼方此方で書かれていたのだけど、消費電力が意外に高くて、電池の持ちがかなり悪かった*1。単3 × 4 本ではどう頑張っても 10時間は持たない。その当時、私の採りたかった記録というのは、郵便物にロガーを電源 ON の状態で封入、投函して、郵便物の動きをトレースするというものだったので、前の晩に投函したらその晩のうちに電池切れになってしまう。早起きして早朝投函で、どうにかこうにか、といったところ。これでは調査範囲にも(かなり)限度がある。どうにかならないか。
ならば、タイマー装置をくっつけて、起動遅延すればいいのではないか。
いろいろ調べてみると、「エレキット」のような手軽な組み立て回路では、タイマーのキットというのは現在発売されているものは無いらしい。(昔はあったようだ*2。何故発売されなくなったか…そんなのは聞くだけ野暮だろうけど。)秋月のキットなどでも全然ないわけではないが、大きさ(重さ)や、電源の簡便性などからすると、今回の目的に合致するものは見つからない。必要ならば自力で何とかするしかない、というわけ。
で、「自作」の方向性を模索して、更に調べる。調べまくった。

「自己保持回路」という、リレーの基礎中の基礎であるところの回路を組んでやれば、今回の目的は果たせそう。タイマーは何か既製品を流用して、ここから信号を取り出し、リレーを作動させてやればいいか。しかし、リレーというのはどう頑張っても 2V 、数10mA はかけてやらないとスイッチングできないらしい。普通に手に入るリレーだと最低でも 3V 。電磁石を使うデバイスなので、極端に低電圧で作動するものは存在しない、ということらしい。市販のキッチンタイマーでダイレクトに駆動するのは難しそうだ。ならば、信号増幅?トランジスタ? 回路を組んだこともない人間にできるのか?
とりあえずもう少し調べてみる。

トランジスタというのは 0.6V 以上でスイッチングするのと、それ以下の微弱な信号を処理するのとでは、回路の簡便さが違ってくるらしい。なんとか、安定的に、そこそこ強力な(トランジスタをドライブできるぐらいの)電力をタイマーから取り出せないか。
…ひらめいた。できる。バイブレータ機能の付いたタイマーなら、きっと可能。
というわけで、白羽の矢が立ったのが、このへん。

タニタ(TANITA) バイブレーションタイマー24時間計 クイック TD-370

タニタ(TANITA) バイブレーションタイマー24時間計 クイック TD-370

これをさくっと改造して、信号取り出しコネクタと、バイブモータ ON/OFF スイッチを設置。(何故手馴れているかというと、そのへん試行錯誤の経験があるからで。)

電源電圧は 3V 。バイブレーションモータを駆動するには DC で少なくとも 1.2V 程度以上、 数mA 以上は必要。これを取り出せば…いける。
まずはブレッドボードで実験。(これも初体験。)

タイマーを 10秒にセットして、待つ、リレーの作動音とともに LED 点灯。これはいい、というか、楽しい。
でもって、本人なりに苦労して描き上げた回路図が、こんな感じ。(Bsch3V 使用)

で、ブレッドボードでの実験を経て、最小サイズ万能基板((秋月の 4×4基板を除く(笑)))(ICB-90) 上に組んだものが、これ。

タクトスイッチ押下で「カチッ」とリレーが作動するのも、なかなか心地よいものを感じる。

因みに実体配線図は手書き orz しかも裏表両面手書きで作成 orz orz 更に転記ミスまで orz orz orz


という具合で、とにかく使えそうなのができたわけだが、よくよく考えれば多機能な必要など全然無いわけで、そこのへんを突き詰めた改良超小型バージョンがもう翌日あたりに出来上がった。なんなんだ。


予定では、封筒に入れて投函するわけで、当然ながら小さくて軽いほうがいい。


更にこの話にはオチがあって、こうして作ったはいいけど、ちょうど同じタイミングで「郵便物を追いかける」というニーズが私の中で消失した為、結局このガジェットは ただの 1度も使用していない。
でも、ここで久々にがっつりと電子工作の真似事のようなことをやってみて「やっぱりおもしろい」と思ったからこそ、いま Arduino でもう少し遊んでみようかな、などと思っているわけで、これをやっていなかったらここまで Arduino に入れ込んだりはしていなかったはず。(ということは…これ、やらないほうがよかったということ?なのか?)
いま、同じこと(起動遅延装置)をまっさらの状態から想起したら、おそらくは Arduino mini あたりをベースに構成するのだろうな、と思う。しかし、ディスクリートで構成したこのガジェットよりも簡便で確実なものがさくっと作れるかどうかは、定かではない。


何はさておき、Arduino でも私はまだ、何を作り上げたわけでもない。目の前では単機能の温度計測装置と化した Arduino mini が 24時間、ひたすら CLCD に現在温度を送り続けているが、まだ、それだけ。とりあえず、もっとこう何かを形にしたい、と思っているわけだが、その出発点はたぶん、マイコンの「マ」の字もない、ここにあるというわけ。


たぶん、説明不足の部分があると思うので、適宜書き足します。

*1:現在はバッテリ内蔵のタイプが発売されており、持続時間も若干改善されているらしい。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-03150/

*2:e.g. http://www.elekit.co.jp/product/50552d32373035