コンタクトプローブピンを使ってリチウム充電池を活用する

私は何かを作るのが好きだけど、何かを完成させるのは得意ではない。
そんな私は、料理といえばカレーライスすら作れないけど、カレーにひと工夫して格段にうまくする方法ならばいくつか知っている。…工作においても、立ち位置はほぼ同じ。何の実績もない。何も完成させてない。でも、何か素敵なアイデアをさらに削って磨いて、格段の輝きを放つようにする、そんなことは、もしかしたら、できているんじゃないか、なんてことは思っている。


そんなことはわりかしどうでもよくて、
コンタクトプローブであります。
Japanino に搭載されている MPU (CPU でもいいんですが)は表面実装型なので、そう簡単に剥がしたり差し替えたり、ということができない。さきの「Japanino のクリスタルは飾りですか?問題」の際にも、「じゃあどうやってヒューズビット書き換えようか、ICSP(ISP)ピンも実装されていないし」という議論の中で「コンタクトプローブを使ったらどうか」という案が出てきていました。
結局 ICSP ピンは 6ピン全て Arduino のピンソケットに出ているからコンタクトプローブは要らないよ、ということに落ち着いたのですが(この話題に関してはこのエントリの中(など)を御参照ください)、でも、「コンタクトプローブ」。ちぃ、覚えた。

というか
©久住昌之・谷口ジロー
「コンタクトプローブ! そういうのもあるのか」
こういう小細工を仕込むから捗らないんですけどね。


あんまり普通のホビイストがガシガシ使用するものではないためか、市販しているところは少ない。苺リナでも「プニョプニョピン」なんて名前で販売している。(ただまあ、これは SparkFun の「Pogo Pins」を直訳しただけなのだろうから深い意味や意図はないのかもしれませんけど。)
それにとにかく高い! 製造している業者は国内外、幾つもあるようだけど、基本的に特注とか受注生産的なニュアンスの強い製品であるよう。業販ですら 1本 ¥300 なんていう価格で平気で取引されているらしく、ICSP のために 6本調達したら Demoduino が買えてしまう。
そこで、ホビイスト的なタッチとしては腕時計のピン(「バネ棒」といいます)を入手して流用する、というのがベストアンサーらしい。最近はバネ棒も百均で手に入る。
でもまあ、天下の電子部品箱、秋葉原*1なら、どこかしらで売っているものでありまして。電気接点はやはり電気的な配慮をされたパーツを使っておきたいもの。接触不良とか、そういう原因で迷宮に入るのは後味悪すぎなのでできるだけ避けたいというのが人情。

東京ラジオデパート 2F で売ってました。見直したぜ ラジオDP !(別に侮ってないけど!)
というわけで、興味があるので数本購入。

とか言いつつ、実際は買おうと思っていた数量の倍、購入する羽目に遭った。どういうことかというと。
秋葉からの帰宅後、早速写真でも撮影しようかと思ったら、入っているはずのコンタクトプローブが無い。レシートがわりの領収証はちゃんとある。…というか、品物を受け取ったときの記憶が曖昧…。なんか、あまりに癪なので、もう一回秋葉にとんぼ返りした。で、帰宅してみると、小さな袋が床に落ちていた…。
カバンを開けたときに落ちたらしい。
皆さんも、電子部品を買った際は、なにぶん小さいものですから、紛失したりしないよう扱いに注意しましょうね。
(おまえだけだとか、いわないでください! わかってますんで!)


ショップ web の写真で見るほどコンディションは悪くないです。在庫限り、とのことですので(どれだけ在庫があるのかは不明ですが)欲しい方はお早めにアプローチを。


さて、このピン。いろんな応用が考えられますが、1本 ¥100 となにぶん安くはないため、そうじゃんじゃん使って駄目にして、という感じではありません。テスターのテストリードへの応用はいけるかもしれません。シンプルで確実性の高い万能基板の連結とか、わりと正当に チップへのデータ書込機への応用とか、夢は広がります。…とは言うものの、このピン、軸径が 1.3mmφ ぐらいあるので、普通の基板穴には挿さりません(通常 0.9 〜 1.0mmφ)。何かうまい具合にいかないものか…と考えて、気が付くとこういうのができていました。

(相変わらず半田付けは我流でどうしようもないですが…)
短いほうのプローブを両面の蛇の目基板にくっつけただけ。でも、つばの部分を利用して斜めにつけたのがミソ。
で、こんなふうになります。

携帯電話用のバッテリです。(互換品でほんとすみません m(_ _)m )こういう、携帯電話やコンパクトデジカメのバッテリを何か電子工作に流用しようと考えた際、必ず問題になるのが「ホルダをどうするか」という問題です。多くの人が某クリエイティブストアで燐青銅板を購入して工夫したり、既存の電池ボックスや充電ガジェットからパーツを失敬もとい流用してみたりと、いろいろ苦心しているようですが、結局その人の手先の技術に性能が大きく左右されてしまうという(つまり、俺はこれで何とかしたけど、万人にはおすすめできない。…みたいな)ことになってしまっているようでした。また、同じものを作れと言われてもできないとか、やりたくないとか。
この、コンタクトプローブを使用する方法は、接点の信頼性も比較的高く、パーツさえ手に入ってしまえば再現性も高い。

電池の「お尻の部分」のホールドは安直にピンヘッダを半田付けしてみた。こんな感じで充分。ピンの沈み込み(可動範囲)は 2mm ぐらいあるので、それほど神経質に寸法出ししなくても平気なようです。



Japanino の駆動も成功。
なお、2枚目の方は昨日 鈴商にて購入した超小型スピーカー(¥100)のテストも兼ねてみた。BEEP 音程度を鳴らすのならば、充分充分。


で、例によってお約束の文言になりますが、
携帯電話やデジカメなどのリチウムイオンポリマー充電池を流用する場合には細心の注意を払ったうえで、あくまで各自の自己責任において運用してください。本来の機器以外でこれらの電池を充電・使用する行為はメーカーの責任の範囲を逸脱する運用であり保証の対象外となるばかりでなく、最悪の場合 爆発・火災等によりあなたの身体や財産に甚大な被害が及ぶ危険があることを充分認識した上で作業にかかることをおすすめいたします。当該記事は、お読みになる方に対し、記事内容の実験実施を推奨しているわけではありません。


Li-ION-Pol. (通称リポ電池)は本気で危険だそうなので、充分御注意ください。


少しだけ追記

Japanino はもともと低速駆動なので低電圧にも強く、公称電圧 3.7V の Li-ION-Pol. で充分起動可能なのは判っていたのですが、Arduino Duemilanove + CLCD で試してみたところ、これもなんと起動しました。USB から給電したときとコントラストの最適位置はだいぶずれましたが…。駆動時の電圧を測定してみたところ、4.1V ありました。これがどこまで動作し続けるのかは結論が出るまで実験していませんが、結構電圧が落ちても平気なことは確認できました。(※ 現在 4.02V まで電圧低下、なお正常起動中)

AVR 、なかなかやるなー。(というか、携帯電話等による通常仕様において LiPO が普段からどれだけの酷使に耐えてるんだよ、みたいな話でもあります。)


更に追記

【2012/10/27】
コンタクトプローブはマルツでも取り扱いがあることを確認。ただし名称は「スプリングプローブ」。1本だと ¥100 。

マックエイトでも「スプリングプローブ」らしい。マルツで買える。1本あたり ¥220 とかそのくらいのもよう。
参考までに。

*1:「天下の台所、黒門市場」というフレーズをパクリました。なんとか権:継承的なもの(超適当)