自作バニラ(プロトシールド)を真似して作ってみた(ちょっと改良もあるよ!)

二番煎じですらないフォロアー記事(参照した元記事はこちら)ですが、若干改良点もあるので書いてみた。



Arduino でなにかガジェット的なものを自作しよう!としたときに必ずぶち当たるのが「ピンが 1箇所 mil ピッチから外れてる問題」。

Arduino 標準機の入出力ピンは 100mil(= 2.54mm)ピッチのピンソケットで構成され、8ピン- 8ピン、6ピン- 6ピンの合計28ピンなのだが、片側の8ピン- 8ピンのあいだだけ 開き巾が 160mil 。つまり、普通の万能基板を使おうとすると、ずれてしまう。
これは「イタリア人らしいルーズさ」とか「既製品を簡単に使わせない商魂」とか「ピンレイアウト ほんの 1箇所の工夫で逆差しを見事に防止している日本人にはできない鮮やかな設計デザイン」とかいろいろ言われているが結局「公式見解としては『設計でミスった』」という話もあるようだ。
Arduino はブレッドボードでしか使わないことにしています」というような人を除けば、基板を発注できるレベルの人にしても、試作段階で気軽に Arduino に差して使える万能基板があると便利なのは言うまでもない。しかし、専用のもの(所謂「プロトシールド」)は当然ながら高くつく。各社それぞれ製造販売しているようだが、たぶん、最低でも 1枚 ¥600 。

そうそう、スタック仕様にするならこれが必要。

いっぽう、ボード側で何とかする必要は無いじゃん、という発想もあり、

また、「何故それをお宅で販売しますか」でお馴染みのサンハヤトからもプロトシールドが発売されている。標準小売価格では少々上だが、店舗によってはスイッチサイエンスのものと同等か若しくは若干安くなったりする。


(アイデアフルなピンソケットはともかくとしてですね、)法外と言うわけでもないが、総じて、あっさりお釈迦にするにはちょっと勇気のいる価格。これがもし、そこいらへんで売っているような 1枚数十円の万能基板でできたなら、もう少し気軽に実験へと手が伸びるかもしれない…
そんなふうに考える人は少なくないようで、特に Arduino ユーザーならではの「敷居は低くてなんぼ」という考えが行動原理の人がいろいろと試みているもよう。そんな中で、コスト面、手軽さ、簡単さ、完成品のシンプルさなどでトップクラスではないかという hack が Twitter 経由で流れてきた。

これはいい。C サイズ(72×47mm)の万能基板がそのまま使えている。
早速作ってみましょう。 …ところが。

(→ http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-02628/
私の手許には、C サイズの基板はいくつもストックしてあったものの、上記の方法で使えるのは基板の縁ギリギリまでランドのある、このタイプ でないと駄目だったのだ。(そうでないと L字ヘッダピンが届かない)
さて、せっかくやる気満々で半田ごても温めていたこのモチベーションをどうにかしたい。工夫して、上記「工法」でいけないか。
…ストックしてある部品から、見つけました。これですよ。

1列の L字ピン(右側)と比較すると相当長い。約100mil 長い(あたりまえである)。使わない 1列分は除去せざるを得ず、まるまる無駄にしてしまうことになるけれども。また、価格は、1台分をまかなえる 80ピン(40ピン×2列)のもので ¥100 (秋月価格)。1列のものより当然高くつくが、まあ、言う程のものではない。
早速その「余分なピン」の除去作業。意外と面倒臭くはあったが、L側をニッパーで切ってラジオペンチで引っこ抜くだけ。簡単。
というわけで、ヘッダピンの準備はできた。

先行事例に倣い、8ピンのヘッダを「ちょっとだけ」曲げ、あとはそのままで、半田付け。ところが、巾は完璧に調整していたつもりが、Lピンの「Lの字」が想像以上に「直角」ではなかった。このため、Arduino に取り付けながら何気なく手修正を加えていたところ、(テコの原理でもって)過負荷が掛かったらしく、外そうとしたときに半田付けしたランドがランドごと剥離してしまった。

ベリッとね。 … orz こうなってしまっては、復旧の手立てはない。
片面基板の弱点がこういうかたちで出てしまった。両面基板を使用していればこうはなっていなかったはず。…そうは言っても、仕方ない。 できれば緑色ので作りたかったのだが。

そういった次第で、どこの御家庭にも 1枚は常備されている(なわけない)ガラエポ基板に切り替え。紙エポより少しは丈夫だろう。今度は慎重に、足が垂直に立つよう見ながら半田付け。そして、Arduino に差して OK を確認したら、そのままエポキシ接着剤を仕込む。ここでエポキシを調子に乗って塗りたくりすぎると Arduino と「今は何の変哲もないただの基板」が永遠に結ばれてしまうので、要注意。(実際、結構危なかったんだけどな!)


できた!

エポキシが「大盛り」になってる部分は写らないようにしてあります(笑)
そもそも「ずらす量」がせいぜい 1〜1.5mm なのでそう神経質になる必要もなく、うまくやればピンは曲げるまでもなく綺麗に収まるかもしれない。現物合わせのぶっつけ本番で位置決めしたほうがよいようだ。ただし、無理な力をかけると基板、ヘッダピン、最悪は Arduino のコネクタを破損してしまう可能性もあるので、注意されたし。


Arduino に搭載するとこんな感じ。まっさら。

サイズは Arduino にぴったり。これは、思ってたよりも、いいですよ。
これから「あなた色」に染めるわけです。*1
因みに、2列タイプのヘッダピンを使用したおかげで(その分強度に問題が生じたりしたわけだが)、基板と Arduino のクリアランスは大きくなっている。これは、プロトタイピングには、場合によってではあるが、ちょっと有利かもしれない。

生産性の低さに定評のある以下略

さて。
プロトシールドを作ってみたはいいが、使う予定は、いまのところ、特に無い。というか、1枚だけだったらわざわざ自作するまでもなく「エレキジャック」のおまけで貰った白いプロトシールドが(それこそ「白無垢」で)控えている。

問題は、というか大事なのは、これを使って何を作るか、なのだが、今のところ No idea 。


このままではあんまりなので、

LEDを光らせてみた。スケッチは、以前書いたもの をそのまま一切改造もせずに使用。


裏面はこんな。外すことを考えて、LED の足は片方ずつしか基板に止めていない。抵抗の足もほぼ空中配線。プロトタイピングの醍醐味。

総括として

  • 今回試した自作バニラ(プロトシールド)は、つくるのも簡単で、シンプルでよい。
    久世さんありがとうございます)
  • ただし、強度には若干の不安がある。接着剤等で補強は必要。
  • 作ってみてわかった、プロトシールドは足が飛び出しているので保管が意外と面倒かもしれない。
  • なので、プロトシールドは必要に応じて作るのがいいのかもしれない。
  • というか、プロトシールドなんか作ってないでさっさとなんかガジェットを作れよ>私(FA)
  • (そういえばオシロスコープの話も書く書く言っていてちっとも書いてなかった… orz)

さらに!

【2010/07/01 追記】
Twitter 上の Arduino Friendship クラスタのばんとさん(@bant62(ただしクラスタは同一でもスキルはハード/ソフト共に私の数段上)が、更に改良された手作りプロトシールドの製作を紹介されている。 これはいい。

とりわけ「接着剤不使用、半田付けのみで強度をキープしている」点と、「端子として利用可能な部分が多い」点は、実用性の面からも、半田付けクラスタ的にもポイントが高い。


いろいろ出てきて、実におもしろいなぁ。