エポキシ茶話

「エポキシ接着剤って、種類多いよね。」

「そうだね。」
「これって何が違うの?」
「硬化時間と、色が違うよ。」
「それ以外は?」
「あんまり違わないよ。」
「違わないの?」
「そうだよ。」
「強度とかは?」
「言うほど違わないよ。」
「この、5分で硬化するのと、8時間かかるのとでは?」
「違わないよ。」
「5分の方が弱そうだけど?」
「そんな違わないよ。」
「ほんとに?」
「むしろ素人がやると保定不足で硬化中に動かしちゃって強度弱くなるよ。」
「じゃあ、こんなの、短時間なほどいいってことじゃん。」
「硬化時間が短かすぎると、逆に不便だよ。」
「どうして?」
「ゆっくり作業ができないからだよ。」
「そういうこと?」
「だからいろんな硬化時間のが出てるよ。」
「でも流石に 8時間も作業に掛ける人はいないでしょ」
「それはまた別問題があるよ。」(※後述)


「じゃあ、あれだ、ヒケが大きいとか…」
「そんなことないよ。」

説明しよう。「ヒケ」とは「体積縮小」のことである。
一般に溶剤型の接着剤は溶剤が揮発して硬化するため、その分 体積が減少する。よって、隙間を接着税で埋める用途で用いる「充填接着」や接着剤で橋渡し固定する「架橋接着」には適さない。一方、非溶剤型の接着剤、エポキシはその代表例だが、これは硬化時に体積があまり減少しない(全くしないわけではない。化学反応なので)ので、充填接着等にも適しているとされるのだ。

「違わないの?」
「そんなに違わないよ。」


「ほんとはなんか決定的な違いあるんでしょう?」
「強いて言えば値段が違うよ。」
「…値段?」
「値段だよ。」
「…?」
「短時間で硬化するののほうが高いよ。」
「…」

「だから、意味もなく短時間で硬化させるのは勿体無いよ。」
「そういうこと?」
「ただし家庭用途やホビー用途なら大して使わないからあんまり気にしてもしょうがないよ。」
「確かに、割安だからってデカイの買うと後悔するんだよね」



【後悔するの具体例】


「あと、短時間で急に硬化させると、温度上昇に気を付ける必要があるよ。」
「暖かくなっちゃ、まずいの?」
「火災の危険とか、周囲の部材を損傷する危険とかだよ。」
「火災?! そんなに熱が出るの?」
「いちどに 100g以上とか使う場合は注意が必要だよ。」
「そんなに使う訳ないじゃん!」
「ホビーではまず無いよ。」
「だよねぇ…でもそれと硬化時間とどういう関係が?」
「長時間硬化型は硬化がゆっくりなぶん発熱も穏やかだよ。」


「結局俺はどれ買えばいいんだ?」
「自分の作業に適した硬化時間のを買えばいいよ。」
「硬化時間15分のやつでどうしても 5分でつけたいときとかってなんか方法ないの?」
「ホットプレートとか使って暖めるといいよ。」
「暖めると速く固まるんだ。」
「でも加熱しすぎると変色とかしたりしやすいよ。」


「あと何か、しっかり接着するコツとかある?」
「接着箇所の油とか汚れを除去するだけで、格段に違うよ。」
「脱脂ってことね。」
「あとはエポキシの場合、よく混ぜることだよ。」
「よく…って、どのくらい?」
「最低 5分だよ。」
「5分も!ってか 5分硬化型のは混ぜてる間に固まっちゃうよ!」
「そんな早く硬化するのは使った事ないから知らないよ。でも30秒は混ぜた方がいいよ。」
「それでも長げーよ。それに気泡入りまくりじゃん。」
「そんなの真空で引けば綺麗に抜けるよ。」
「…結局プロの話かよ!」




久々の更新がこんなでほんとすみません m(_ _)m