Japaninoはひょっとするとはやぶさに匹敵する「日本の奇跡」かもしれない件

(またのタイトルは『Japaninoのコネクタは逆、じゃないけど、逆』)


何故、「はやぶさに匹敵」まで言うか。それは、次々と明らかになる不具合の全てが、ことごとく「普通の使用には差し支えありません」で通用してしまうレベルだから。たぶん今後もまた新たに、何かしら明らかになるでしょうけど、たぶん「差し支えありません」なのだろうと思えてしまうあたり、きっと担当者の何方かの日頃の行いがよっぽどよいのでしょう。私だったら一発終了コースです。
運を味方につけることができる、それも才能のひとつ。努力を怠る人には運は味方しない、とも言いますし。モノを作る人、プロトタイパーにとって、運は重要なアイテムと言ってよいでしょう。だから、 Japanino は、日本が世界に誇るべき「奇跡のガジェット」と言ってもいいという気がします、これは別に嫌味とかではなく、です。


でも私は、正味な話、今回の件に至っては、結構がっかりしています。自分にもがっかりしていますし、 Japanino にも。



(差し支えないとはいえ…)Japanino のコネクタは、間違いない、「逆」だった。


因みに御存知でないかたの為に書いておくと、「Japanino の不具合」とは、このあたりに書かれたような様々です。



そう、2010年06月13日夜。記念すべき日。世間(のごく一部)がはやぶさで盛り上がっているさなか、私はおかえりと泣きながらも半田ごてを握っておりました。…遅ればせながら新たに知った事実の検証と実験レポートの為。
アクセス解析とか殆ど全く見ていないのでなかなか気付かなかった訳ですが。

Japanino単体で使用する分には問題はありませんし間違えではありませんが、コネクタの互換性という点では疑問が残ります。

これのことです↓

うーわー気にしてなかった!


(拙記事を参照、引用してくださったメモたんく(「中の人」は「ばんと」さんだそうです)に感謝しつつ。 m(_ _)m)


以前、「Japanino の忘れ物…」と題した記事の中で、Japanino の問題点のひとつとして取り沙汰されていた「電源コネクタの干渉問題」について、私は

電源コネクタは、気になるのであれば剥がして横向きのを付け直せばよろしい。

と書きました。
ところが、「メモたんく」さんの彗眼どおり、「横向きコネクタ」に付け替えると、コネクタの極性が逆になってしまうんですね。勿論、コネクタを基板に対して内向きに取り付ければいいですけど、それではコネクタがパーツ(ポリヒューズ・コンデンサ))と干渉して挿せない。いや、もっと簡単には、コネクタを基板の裏側から実装すればいいんですが、そうするとこんどは Japanino 標準付属の「足パーツ」が干渉して取り付けられなくなる。
無論のこと、コネクタハウジングのついていない剥き出しの L型ピンヘッダに換装すれば事は解決するけど、逆挿しの恐怖が常に付きまとうことになります。
最もスマートで、私たちが採るべき解決策としては、電池ボックスについているほうのコネクタ、これのリード線は挿し替えることが可能ですので、尖ったものを使ってリード線を「コンタクト」(端子金具)ごと抜き外し、逆に挿し直します。

挿し直し後。

参考までに、付属の電池ボックスっていうのは、全体だとこんな感じ。スイッチ付き、蓋付き。単4(AAA)型× 3本。私はここに NiMH しか入れたことがないですが、それで動作に問題を生じたケースには遭遇していません。


で、口だけではあれなので、実際にコネクタの付け替えをやってみました。(…いや、っていうか、電池側コネクタの極性変えちゃったから、本体側も変えなくちゃいけないんですけどね。)

これが元々のコネクタ。

本当は非破壊的に外したかったのですが、無理でした orz
更に、+側のパターンが浮いてしまいました。裏側と断線したかもしれません。私が明らかにコテを当てすぎ、また、無理な力をかけたためではありますが、プリントパターンはあまり頑丈ではないということも判りました。改造を企てる方は、御注意を。
というよりそもそも、XH コネクタのピンは太いうえに(半田付けの際の作業利便を考えてか)緩く屈曲しています。ので、外すのは、それなり結構、大変な作業です。覚悟して臨んでください。

で、横向きコネクタを取り付け。テスタで当たったところ、やはりというべきか、+側の接触がいまいちだったようなので、基板の上側からも半田を足して若干盛り気味に。


起動実験、成功。これはこれで、便利かもしれません、意外と。
…で、取り付けてみて新たな問題に(今更)気付きました。

これ、こうなってしまっては、PC に直挿しできないじゃないですか。
そういうことか。それで横向きじゃないのか。
因みに私自身は直挿ししませんので影響は皆無です。
でも、それならば、電源コネクタ取り付けの穴位置が、基板のキワキワでなく、もう 3mm 奥まっていれば…全く問題ないはず。更に、コネクタの口が横向きで基板のツライチに来ていれば、PC に挿した際に外部電源が繋がったまま、という、どうみてもあんまり道理があるとは思えない状況を物理的な意味で回避してくれます。


要するに、当然といえばこの上なく当然な話ではありますが、コネクタを付け替えて使うとかそういうことは一切考えられていないということです。将来的な仕様変更も想定されていないということ。


少し、別アングルの考察をしてみます。
単純な比較。何も考えずに、普通に XH コネクタを取り付けた、秋月の別キット。

…横向きコネクタを取り付けた際に基板に向かって右側が VCC 。あってる。つまり、基板レベルでは、Japanino も特に問題無し。


でも、じゃあ、一般の流儀として「Japanino に付属の電池ボックスは、コネクタの極性が間違い」なのか。「マナー違反」なのか。
そう思って調べてみたところ、これは一概には言えない、つまり、間違いではない(のかもしれない)。


商品として販売されている、ケーブル付き XH コネクタ。赤黒の関係は「Japanino 電池ボックス」のものと同じです。つまり、こっちの極性のものも普通に流通している。

これは、とある装置に使用されていた XH コネクタ仕様ケーブル。ロッカースイッチに直結されていたので、恐らくここにまた何かのケーブルを継ぐような仕様だった(ただし、パイロットランプ程度の小デバイスが)と思われます。こちらは、さっきのケーブルとは赤が逆側です。
つまり、やっぱり、設計仕様の問題のみであって、普通にどちらが赤線のパターンも使用されている雰囲気。どっちが正解でどっちが間違いという話ではなさげ。


そもそも、どっちがどっちでもいい作りではあるから、「業界的にこっちが標準ってことになってる」みたいなのが無い限りどっちでもありえる話なわけですけど、どうやらそういう「暗黙の(業界的な)標準」は無さそう。


要するに何が言いたいのかというと
「コネクタと赤と黒が常識的に逆」とか、そういうことではないし、そこは問題ない。
そうではなく、このガジェットを使って 1歩先の何かをしようとしたとき、問題を生じるような設計であること、「考えられてなさ」が如実であること、そこが「問題」。
解決可能か、不能か、ということで言えば、全く問題ではない。でもね、という話です。


こういう按配でいろいろ出てくると、流石に、なんかがっかりしてきます。
それは、「テクノ」とか、そういう言葉、単語に対してがっちり裏打ちされていて然るべきな、技術面での「詰め」の甘さみたいなものにがっかり、ということです。
あまり多くを語る気はありません。(と言いつつ既に語り尽くした感がありますけど。長文にお付き合いいただき誠にありがとうございました。)


「でも、使えてるんだから、いいじゃん。」って、


心意気っていうのは、そういうものじゃないでしょ?


悲しくなった。ものすごく悲しくなった。これが「Japan」を冠したものづくりの、現実のいち側面なのだとしたら…と、考えてしまって。



次回「大人の科学マガジン」の付録は「和時計」だそうだ。で、そのあとには「普及版ウダー」が控えてるとか。
永く愛されるものが産み出されることを密かに願って止みません。