秋月テスタの APO 解除方法と AC電源対応改造(06)

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秋月電子のポケットテスタは しかるべきボタンを押しながら電源を入れるとオートパワーオフ(APO)が解除できる、ならば、連続使用を想定して AC 外部電源を使えるよう改造してしまおう、という話で、一度は成功したかに見えたがレギュレータ回路を仕込んだらテスタをお釈迦にしてしまった、というところが前回まで。


なお、以下、いろいろやっているが、当ブログの内容を見てなにかする場合は全て自己責任で。事故・損害等に関し、当方は一切関知しない。失敗しても泣かない、くじけない、人の所為にしない。…いや、泣いてもいいけど、涙は拭く。(なんだそれ)
…自戒を込めつつ。


改造中のテスタが壊れた。
おかしなところは無かったはずだ。でも、現実問題として、電源は入らない。液晶は点かないし、音もしない。勿論、全てを元通りの状態にしても不可。レギュレータ基板のほうはどうかというと、これが問題なさげ。10年前のタンタルコンデンサも静電容量、直流抵抗、ともに良好。ダイオードも、破壊されているわけではなさそう。となると、原因が全くわからない。
わからない以上、再発の可能性が否定できない。つまり、先に進めない。
とはいえ、とりあえずテスタがあるべき場所に無いのは不便なので、壊れたものは仕方が無い、部品取りにしよう、で、新たに買う。泣きながら買う。 その先の道は 2つ。買ったテスタを改造するか、買ったままで使用するか。
今日日、ボタン電池「LR44」 は「勿体無い電池」ではない。いざとなればどこでも手に入るし、10個 ¥100 で買うこともできる。こと私に関して言えば買い置きも充分にある。バッテリアウトで、突然困るということは無いのだ。だったら、電池コストなど気にせず買ったままの状態で使えばいい…わざわざ失敗のリスクを背負い込む必要も……


いや、失敗を失敗のままで終わらせたくはない。さきの原因が不明でも、成功例を 1個作っておけば今後はそっちに倣えばいいという言い方もある。…ではその、具体的な方策は?
ひとつ、できるとすれば、最初から全部組みなおすことである。ありあわせとか流用をせず、いちから組んでみる。故障の原因としていちばん怪しいダイオードも、ありあわせでなく、ショットキーバリアダイオードを入手しよう。部品はもう一回、吟味し直そう。
あんまり意味はないが、改めて回路図を起こすとこんな感じになる。

ちょうどポリスイッチを入手していたので、お守り代わりに入れてみる。このポリスイッチというものの性質はいまひとつよく把握しきれていないのだが(というと他を完全把握しているみたいだがそんなことは無い)、どうも定格として表示されている電流ではほぼ遮断されないという扱いでいいみたいだ。

そのうち実験してみないと、とは思っているが、かなりのんびりしたデバイスのようなので、定格の小さいものを使用するぶんにはまず問題無いという印象。回路保護というよりは電源保護用、と考えたほうがいいのかもしれない。
などといろいろ言っている割には、とってつけたような配線。

ていうより、ポリスイッチのことを忘れて部品配置してしまったので、「ような」ではなくまさしくとってつけた配線になってしまった。(まあ、もともとあっても無くても…ぉぃ)
しかし、万能基板を裏返しに使用しているのは、これは間違えたわけではない。

試作で 1個普通に組んでみたのだが、半田面で各パーツのリード(足)を曲げて半田で接合すると、そのぶん どうしても分厚くなってしまう。今回要求される薄さが 4mm で、大きめの積セラと基板を合わせるともう余裕は無い。電解コンデンサ(47μF 16V)の直径が ちょうど 4mm くらいで、単独ならば収まるのだけど、半田とリードのぶんで、あえなくアウト。(組む時点で厚さを強く意識していればなんとかいけたのかもしれないが…) 結局この基板は今回使用せず、まだ何かの機会のためにとっておくことにした。(そんな次第で、搭載基板のほうには、電解コンデンサではなく思い切って贅沢にも大容量積層セラミック(けっこう高価。(;_;))を使用した((…っと、細かいけど重要な(とんでもない)ミスが記事を書いたあとに発覚。出力側の積セラには 47μF 25V (とても高い)を使用していたつもりだったのだが、撮影画像を見直してみたら 100μF 6.3V の(ちょっと高い)だった。
つまり、12V はかけちゃいけない。いままで(短時間とはいえ)12Vかけてよく平気だったな… …危ない、危ない…
対策としては、100μF を使うなら、2個直列にすればよいようだ。(現実にはなかなか単純計算ではいかないようだが、欲しい容量は 33μF なので余裕はありそう。
…あとでやる。))。)

パーツを万能基板のパターン面に配置するメリットは、裏面の絶縁の必要がなくなるというところにもある。そのぶん、薄くできる。「じゃあ基板要らないじゃん」という話に…は、ならない。各パーツの保持には基板が必要。

配線し、レイアウト。この状態のまま、試験する。電池にて起動を確認ののち、前回原因不明の故障を招いた 12V を投入…緊張する…

オッケー。いちばん電力を消費する(らしい)Ωレンジの測定も問題なし。こんどは、大丈夫そうだ。(となると、ますます前回何がいけなかったのかわからないが、たぶん、余計なことをやったダイオードだろう、ということにしてそれ以上は考えないことにする。)


もうケースの加工をする気力がなかったので、壊れたほうのテスタの裏蓋をそのまま流用。再組み立て。

こうして無事改造完了。その後は問題なく稼動中。
で、『アダプタから電源供給すると計測値に影響するのでは? 問題』に関しては、今のところ気になる現象は確認されていない。たぶん、余程アクロバティックなことを企てない限り(自分の電源電圧を測るとか)、問題は無いのではないか、という気がしている。

心配ならば、外部電源も電池にすればいいかもしれない。


あとちょっとだけ続きます。