エアカウンターS におあつらえ向きの袋を見つけてきたよ

忙しい方へ:「クリスタルパック S3.5-22」を使いましょう。以上

自分で言うのもなんだが、これは見事。
(私の功績でもなんでもないですけどねてへぺろ☆(・ω<))


放射線計測器、とりわけ GM計については、ここにもいろいろとまとめて記載しておかないといけないことが、まあとにかくいろいろとあるわけですが、なかなか書けずにいます。事態がまだまだ流動的ということもあり、書けずにいるうちに陳腐化し…なんてことはすべて言い訳でありまして。
ともかく、放射線測定器の中でも私は GM管 から浮気する気はない、シンチとか手を出す気はない…なんて言っている私の手許に何故か、いつのまにやら、こんなものが。

安かったんで、つい…
というのは半ば冗談としても、使い方次第では意外なほど「まとも」な計測器です、これは。…勿論、価格の割には、ですけども。でもって、使ってやるわけです。ポケットに入れるにはちょっと長すぎるので、カバンの中にぽいっと放り込んで、持ち歩くわけです。初代「エアカウンター」に比較して衝撃などの外来ノイズにはだいぶ強くなっているとの話ですが、それでも弱い・軽い衝撃では誤カウントしがちなんていう癖があるようで*1、あんまり腰にぶら下げて…なんていう持ち歩き方もしたくないところ。
エアカウンターγ線のみの計測なうえに計数率も低いので、ホットスポット探しのようなサーベイ用途には不向きです。だから、本来的に地面や土壌に近接若しくは接触させて計測するような使い方はしません。従って、そもそもエアカウンター本体が「コンタミる」(計測器自体が放射性物質で汚染されて常に高い放射線量値を示すようになってしまう)ようなことは「考える必要がない」わけです。…しかし。いま書いたとおり、どこかにブラブラとぶら下げて使うとかはしないほうがいい、となると、どうしても取り落としたりする危険性は高まります。水溜まりにでも落とした日には、一撃でアウトでしょう。それに、汚れるよりは汚れないほうがいいに決まっています。雨の日・雪の日に、濡れることを恐れて計測を断念するなど、本末転倒です。じゃあ、専用ホルダーのようなもの(→ こういうのとかですね)に入れれば万全なのかというと、これがまたかさばるし、取り出さないと値も読めない。
どうしましょう。  →→→ こうしましょう。

ここで登場するのが、商品の陳列包装やラッピングに使用される所謂「PP袋」(OPP袋;PPバッグ)というもの。様々なサイズが揃っており、目的に応じてシール蓋つきなどのバリエーションも有効。軟質ポリ袋よりも透明度が高く、「中の物」がしっかり見えます。この「PP袋」の一種である「クリスタルパック」の「S3.5-22」というサイズが、まさにエアカウンターS にぴったりのサイズ。エアカウンターS のために製造されてるんじゃないかっていうくらい。
残念ながらシールフタ付きのタイプではちょうどいいサイズのものはありませんでした。ですが、充分ではないかと。セロテープや何かのシールでぺろっと止めてもいいし、折り返して輪ゴムを巻いてもいい。上の写真のようにビニタイ(ねじりっこ)で縛ってもいい。
因みにスイッチ操作は袋の上からでも問題なくできました。それに、破れたら交換すればいいだけの話です。


モノはこんな。

上「クリスタルパック」と下「ピュアパック」はスペック的に特に何か異なるわけではなく、「クリスタルパック」が日本国内製造であるのに対し「ピュアパック」は海外製造、でもってちょっとお安い。それだけの差。サイズも厚さも同一です。
私はこれを、秋葉原からも程近い(ひと駅だから歩いてもいける)浅草橋「シモジマ」にて求めました。(実際、歩いて行ってきました。)

元々は業者さん向けの店舗用品のお店なので、意外なほどお安い。勿論、商売関係ない一般の人間も普通に購入できます。

こういうのが嬉しい。モノを持参すれば店頭で「入るか、入らないか」とか試せるわけです。


「クリスタルパック」で検索するとネット通販やってるところが幾つか見つかると思います。
たとえば(※註:べつにこちらのショップが特におすすめというわけではありません)

実店舗でいえば、店舗用品・包装用品専門店でなくとも、大きめの文具屋さんなどに行くと結構置いてあるようです。「某クリエイティブライフストア」とか、ユザワヤなんかでも買えます。 御自身のエアカウンターS を、綺麗に長く使いたいとお考えの方は、探してみられてはいかがでしょうか。100枚でせいぜい¥200 程度、1枚 ¥3 しないならば頻繁に交換してもさほど勿体なくないですね。


念の為再掲しておくと、適合型番は「S3.5-22」(35mm巾×深さ220mm)です。


エアカウンターS」について、あと少しだけ書いておきます。

ネット上では頭ごなしに貶してる人とか、所詮は…とか、期待したほどの…みたいな言い方してる人も多いようですが、私は、「あの事故」後 1年を待たずしてこういう製品が世に出たことはまさに「日本の勝利」といって差し支えないと思っています。こんな哀しい勝利もないですが。まさかこんな時代が来るとは思っていなかった。でも、悲しくとも苛立たしくも、これが現実です。

なんの変哲もない、ごく普通の街中の薬屋さんで、放射線計測器が陳列されているという、あんまり認めたくない現実がそこにはありました。今後ますます浸透していく特殊測定機器。「放射線測定器のある日常社会」。本来見ることも触れることもかなわなかったその得体のしれないものをうかがい知るための、同じくらい得体の知れない機械が、手を伸ばせば届くところにまでやってきた、そんな世の中。さて、これをどうするかは、我々に託されたわけです。目をそむけるのもひとつの身の処し方。この「棒きれ」を振りかざしてがなり立て、騒ぎまわるのもひとつの処し方でしょう。


このへんは、まあ何を言っても無駄な部分ってあります。


…そんな中で、私は、どうやったらこの「棒」を快適に・有益に使えるだろうか、とか、いろいろ考えて、試して、を今後も続けていこうと考えています。何かいいアイデアとかアイテムが見つかったら、披露していきます。
まあしかしだ。でもやっぱり言わせてね。エアカウンター(S) で、値を確定するなよ! 特に持ち歩いて、ウロウロする系の人! 異常な値が出たら、「ちゃんとした」GM計なりシンチレーション計なり持ってる知人に相談しようぜ。エアカウンターは「その程度の器具」だから。値段考えようよ。GEEK でもなんでもない人間が数千円で思いついたように放射線検出できるってだけで、本来「奇跡」ぐらいに思わなくちゃ。
数10万円、数100万円の計測器が何故断固として存在する(そしてそれがいまでも順調に売れ続けている)のか、考えようよ。
「百均のハサミ」だって、活躍の場はあるでしょう。頭ごなしに「こんなもの使えるか!」って言っちゃって存在を全否定するのは簡単ですが、それもまたどうなのか。ハサミのある世界と無い世界を想像する。エアカウンターS は放射線測定の世界を切り開く、おそらくいま最も入手が容易な「ハサミ」です。


もうひとつ、おまけ。

いつまで経っても記事にできそうにないので、半ば投げ遣りに(笑)


私がおすすめする(ローエンドクラス) GM計 は、こちら 2点。

勿論、コストパフォーマンスやコンパクトさ、お手軽さから考えて、ロシア製 GM計 「SOEKS-01M」や「RADEX RD1503 / RD1706」などもおすすめです。まだ高い値段をつけているショップもいっぱいあるので、できるだけ安く入手しましょう。(買うならばネット通販をお勧めします。理由は、安いからです。圧倒的に。)
何故イチオシでないかというと、それは電池寿命であったり、設定できる項目であったり、データが容易に取り出せるか否かであったり、…要するに実際に使ってみた印象としか言いようがありません。
こういうのは好みとか使用シーンの癖とかもあるので、ほんとはしばらく試せるといいんですけどね。…あ、リアル知人の方にはお貸ししますよ。
勿論他にも良い機種はたくさんあります。…ですが、私は自分で試してもいない機種についておすすめ・非おすすめ等 云々したくないので、余計な発言は控えておきます。私自身は(個人レベルでは) GM管、なかでも SbM-20 至上主義なので、かなりかたよってます。使用シーンによっては、私の選択は正しくありません。


因みにですが、精度とかなんとかはどれもいうほどの差異はないと思っていいです。もともとそんな期待するほどのものじゃあないです。GM管による放射線計測そのものが、そういう性質のものです。そのへんの勘どころは、とにかくいろいろ測って、値を実際に出してみて、測定者自身の経験値を上げていくしかないと思います。
なにしろ相手は放射線。いままで習って、学んできた常識とそこから培ってきた常識的感覚は、まったく通用しないのですから。

*1:Twitter で拾った情報:内部解析やデータ分析を行ったかたによると、エアカウンターS では 4個内蔵されている半導体センサ(PD)をそれぞれ個別に監視しており、「すべて(あるいは多く?)のセンサが同時に反応したらそれはノイズ」と判断する多数決(多数否決?)処理をしているらしい、とのこと。放射線の性質を逆手にとった実に賢い方法だ。(ただし感度(計数率)は犠牲になっているということになろうか。)

「秋月電子通商では昔、紙袋に商品価格をボールペンで書いて筆算をしていた」件についての覚書

秋月電子通商 秋葉原店の店員さんに言質とってきました。


店員さん曰く「現在では電卓があるので筆算の必要がなくなった。また、ちゃんとレシートを出しますし、領収証も発行します。」とのこと。
残念ながら直接の物的証拠(=当時の(金額の手書きされた)袋)は手許には残っていないが、筆者も確かに「店員さんが商品を入れる茶紙の紙袋にボールペンで直に金額を書いてゆき、筆算をしていた」ことを確認している。


因みに、ここを見るような方には再確認の必要などないとは思われるが、一応。秋月電子で包装に使用される袋とは、概ねこういった茶紙の紙袋である。

サイズは 2種類ある。普通サイズ(120×65×220)のもの*1には文字印刷等なし。大サイズ(155×95×320)の紙袋*2には両面に「ELECTRONIC PARTS」の文字が濃茶色で印刷してある(底面には「No.8」と印字がある)。場合によってはこれらの紙袋を更に白い手提げポリ袋(≒所謂コンビニ袋 or スーパーバッグ)に入れてくれる。大物商品の場合は直にポリ袋に入ることもある。


【後日追記】更に大物 or 大量購入の場合には手提げの紙袋もある。やはり茶紙でプリントは中袋と同じ「ELECTRONIC PARTS」。サイズは 320×410×115 (規格紙袋の「二才」というサイズ)。


以前(概ね、八潮店開店あたり〜秋葉原店 店舗リニューアル(2007/03)よりも前)には店舗に POS レジが無く、紙袋に書かれた金額がユーザーにとっても購入メモがわりとなり、有益であった。(筆者は袋を受け取ったあとに、金額の横に商品名を書き足して帰宅後の資料とすることもしばしばであった。)
現在(2012年)では購入に際してレシートが発行されるので金額メモは不要となった。混雑時には「合計金額を一括でまとめてレジ入力」のこともあるが、非混雑時や、混雑時でも特に依頼した場合、バーコード入力による商品名・コード・金額の入ったレシートを受け取ることができる。


といった次第で、袋に書かれた筆算は簡易的な明細、あるいはレシートの役割も果たしていたのだった。




…こんなもんで宜しいか!

「記載内容にいちいち出典が必要」というのならば、このブログエントリを Refer すればいいと思うよ!  (ていうかその為にわざわざこんなものを書いたんだが。)

*1:規格袋の「S1」サイズ。

*2:規格袋の「K8」サイズ。
  袋サイズに関して cf. http://www.akinaishien.co.jp/spec/paper004.html

ATP3010F4 / ATP3011F4-PU がうまく動作しない場合の傾向と対策について。

暫定的最新情報:
(MTM07 会場で買いそびれてしまった人のために)2011/12/16 夜に、約200個限定で AquesTalk Pico LSI ATP3010F4 がネット販売開始されました。
 → こちら。
たぶんすぐ完売となると思われます。【2011/12/18 記】
→ 1月頭頃、売り切れてました。【2012/01/14 記】

追加情報:
ファーム更新されて外部クロックが不要となった ATP3011F4-PU が発売されました。電源電圧も幅広く対応できるようになっているようです。価格は同一。
 → こちら。
データ通信部分に若干の制約がつきますが、発音等のスペックは旧タイプと同様とのこと。

さらに追加情報! ktkr !
ATP3011F4-PU が秋月で扱い開始されました!!!

しかもアクエストの中の人もびっくり*1のお値打ち価格で御提供! 秋月さんありがとうございます!  【2012/03/26】


こちらではお久しぶりです。(心の底から。)
というわけで、その後かなりグダグダとサボっていたりしているわけですが、そうこうしているうちに季節は巡り、待ちに待った祭典「Make: Tokyo Meeting 07」が開催されていました。さきの震災などの影響により「いっかいやすみ」となったため、前回から約 1年ぶりの開催。


今回も話題豊富な中、私が個人的に特に注目していたのが「AquesTalk pico LSI」。これのおもしろいところは、Arduino 標準機と同じチップをベースとして使用しているため、Arduino ボードを BreakOut Board として利用でき、手軽に音声合成実験ができるという点。*2
詳しい説明や参照リンク等は、非常によくまとめてくださっているこちらなどを御覧いただくとして


…私もゲットしてきました。

超激戦でした…。MTM07 初日はもたもたしていたら売り切れ(それでも開始 1時間後ぐらいには駆けつけたのに…30分で完売したそうです)、2日目も開始10分ぐらい前にフライング気味に会場に侵入?してゲットしたらもうその時点で予定販売数の半分が捌けていたそうで…
すごい人気です。皆さんおもしろそうなものには超高感度です。
で、折角なので、その場で鳴らしたい…というか、喋ってもらいたいわけで、私も仕込んでいったわけですが、結論から先に言うと、…現場では、…喋ってくれませんでした。


しかし、完全沈黙ではないようなのと、ホワイトノイズはしっかり出ているので、チップの不具合ではなさげ。ひとまず展示ブースに戻って (株)アクエストの「中の人」(※お世話になりました。ありがとうございます)に現状報告めいたものをしてみたところ、そうした現象は既知とのこと。具体的には、クロック(クリスタル or セラロック)への配線が長かったり、これと音声出力への配線が干渉したりするとうまく鳴らn…じゃなくて、喋ってくれないらしい(※…と、説明書 PDF にも既に書いてありました。)

帰宅後 実験してみたところ、現象再現したので、実際どういうことになるのか、というサンプルの意味で UP 。

現象としては

  • デモモードではノンストップループ再生になるはずなのに、途中で止まる(勝手にリセット状態)
  • 再生開始後すぐ、若しくはしばらくしてホワイトノイズだけになる
  • 雑音のみ

などがランダムに発生。

参考までに

Arduino ボードに挿した ATP3010F4 をデモモードで起動する(フラッシュ ROM 内 15種類のプリセットパターンを繰り返す)には、Digital 8 ピンと 9 ピンを GND に接続して電源 ON (リセット)、
15種類のプリセットパターンのうちどれかを喋らせるには Digital 9 ピン を GND に落とした上で Analog 0 〜 3 のうちどれか(若しくは全て)を GND へ。
なお、これらの信号線は内部プルアップされているので普段(通常モード使用の際)はプルアップ不要です。

(↑図は武蔵野電波さんの「Arduinoはやみ表 Ver.1.1」からお借りしました。)


傾向と対策

たぶんなんか凝ったこと考えずに「最も一般的な Arduino 」を準備しとけば成功したっぽい。


私の使用した Arduino 互換機ボードは「eJackino mini」というもので、

アーデュイーノ互換マイコン・ボードを作る (プリント基板付き電子工作解説書シリーズ)

アーデュイーノ互換マイコン・ボードを作る (プリント基板付き電子工作解説書シリーズ)

この書籍に付属する「eJackino」の更におまけのようなミニサイズ Arduino 互換ボード( Duemilanove 相当)。実はこのボード、省スペース化のため、CPU からクロック(セラロック)までの配線が少々長い。

※ 因みに、同じく上掲書籍に付属する「eJackino pico」のほうはセラロックの引き回しが短い。(こちらでテストすればよかったのかもしれないが、残念ながら他の装置(GM計)に組み込み済み。)
その点、標準的な Arduino は、クロック(水晶)までの距離は最小限に抑えられている。

というわけで、クロックと音声出力の干渉が原因だとすれば、素直に Arduino 標準機(若しくはそれに近いパーツレイアウトのボード)を使用すればいいということになるが、実際には(動画の最後の方でもわかるように)電源とスピーカ出力を差し替えたら eJackino mini でもちゃんと喋ってくれました。 (´・ω・`) ←いや、がっかりする必要はない
実際に色々なパターンで試してみた感触としては、横着しないでスピーカ出力にちゃんと別個の電源を与えてやればうまくゆく確率が向上するのではないかと。
その他に原因として考えられるのは

  • クロックの相性(セラロックには個体差が結構あるようです)
  • クロックの配線(一般論としても、短いほどよい)
  • そもそもクロックは水晶のほうがいいのではないかと。
  • 電源の品質(百均USB電源では失敗率が高く、また再生できても雑音が結構入ったりしました)

といったようなことが考えられるわけですが、じゃあどれかがクリティカルなのかというとどうもそういう感じでもなく、スピーカ直結だと絶対ダメとかいうことでもなければ電源がへちょいと全然ダメとかそういうことでもなく。恐らく 2つぐらいの悪条件が重なるとまずい、みたいなところ。


とはいえ


いい声で喋って欲しかったら真面目に考えてよね
(アナログなめてんじゃないわよ! (*'▽'*))


というところはあるのかもわかりません。( ↑ pico談、らしい)


ひとまず「こんな状態になった場合にはこんなような原因が考えられるんで対策するといいかもね」という、先例として。 基板を自作する場合や、万能基板で組んだりする場合などに参考にして頂ければと。


ともかく
これものすごくおもしろいです。いろいろ喋ってもらって遊んでいます。
さて、では私はこの石を使って何をするのかというと、勿論、「これから考えます」ということで、甚だもっておあとがよろしいようで。


(あっこれ「つ」の無声化してない方のやつだ… orz → してあるのはこちら!


【少し追記】スピーカ直結について

2011/12/10 追記。
ATMEL ATMega328 … じゃなかったゲフンゲフン、 ATP3010F4 のデジタル出力の絶対定格は 40mA max だそうで、低インピーダンスのスピーカを出力に直結するのは、ノイズ回り込み問題の他にチップそのものにダメージを与える危険性もありますので、覚悟の上、実験してください。いまのところ私の環境ではArduino での音声出力実験を含めて、チップがいかれてしまったというような事態は確認されていませんが…
試しにテスターで電流値を計測してみたところ、スピーカの種類によらず 概ね 45mA 程度の数値が出ました(「a-------------」の持続音で表示が定常化したところの値を読取)。 スピーカに表示されているインピーダンス値と電流値にこれといった相関は見られませんでした。ひょっとすると、チップが吐き出せるだけの MAX を吐き出している状態なのかも…
主電源給電は USB 5V 500mA 。均された状態での値が 45mA 程度、ということです。ピーク値ではもっと流れている可能性が高いです。やはり、あまりオススメできる使用状態ではありません。音質の問題等諸々も含めて、簡単なアンプを噛ましてやるほうがよさそうですね。


たとえば

  • http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-03234/
    • コンパクトなので、組み込みにはよさそうです。ボリウムをツマミ付き半固定に換装してやれば…ええと、これから試します。
  • http://www.aitendo.co.jp/product/1716
    • 超定番 386 アンプ、回路も超定番です。端子はケーブル直結できるねじ式ターミナルブロックだし、ボリウムもついてて、バラック実験にはもってこい。ただしホワイトノイズ多めなので回路に少々手を入れたほうがいいらしい。
  • http://www.aitendo.co.jp/product/2309
    • ステレオなので片チャンネル要りませんが、ブレッドボードに挿せる基板レイアウトなのがヨサゲです。これもそのうち試します。(そのうち…)


(どうしてもアンプなど組みたくない(できうる限りシンプルにしたい)という場合には、音質は落ちますが圧電素子(圧電スピーカー/圧電サウンダ)などを使ってやるといいかもしれません。)


後日追記:ATP3011F4-PU に関する補足など

この動画によるインストラクションがすごいと話題に


…いや「話題に」というほど話題にはなっていない気もしますが、丁寧でわかりやすいのは間違いないです。 3010 → 3011 におけるシリアル通信速度自動選択のやり方(変更点)についても触れられてます。

*1:cf. https://twitter.com/#!/nyaqu/status/184285198039531520

*2:あと、「注目」とか言うてますが、実は(株)アクエストさんに対しては「母音化 VST プラグイン」などをタダで使わせていただいていることに若干の後ろめたさみたいなものがあったりなかったり…で、話題にちょっとでも貢献できれば、という思いがあったりなかったり……。

CRDとか好きだからー!

(別の場所から記事移動してきました*1


だいぶ古いものらしいのだが、「400個 ¥500」という ひと山なんぼ的な価格で売ってたのでついうっかりとぽちってみた。

返品・交換不可の「在庫限り」特価品なので、興味のある方はお早めに。


こんな CRD 、実物は初めて見た*2。…というか、TO-92 パッケージの 2本足なんて、いまや レア中のレアじゃないか。
現状(2011年現在)、日本で CRD というとほぼ SEMITEC(旧社名:石塚電子*3)一択。精度はいいが、なにぶん割高。数mA クラスのものでも普通に買うと 1個¥50〜¥120ぐらいする。秋月電子で 5個以上買うと 1個あたり ¥30、たぶんこのあたりが通常小売では最安。
 
石塚…ではなく SEMITEC の CRD 。白いほうは 27〜33mA つまり 30mA・Typ(※たぶんディスコン) 。ガラスのほうは 18mA 。

※ (Ctrl)抵抗は省略可。
CRD というのは構造的には JFET そのものなので(JFET のゲートとソースを短絡しただけ)、技術水準的に製造可能な企業はいくらでもある。ただ、「狙ったものを欲しいだけ製造する」のはたぶん「不可能」で、どうしてもばらつきが出る。というか、そういうものである。
JFET でみると、こんな按配。


現行のデバイスでもこれだけばらつく(というより「巾のあるものである」)。出荷時に「ランク分け」して粒を揃えている。これの場合は 0.3 〜 6.5mA を R, O, Y, GR の 4ランクに振り分けている。


だから、一応大体狙って製造し、できたデバイスの特性を計測して分別し、販売しているのだろう。これはどうしたってコストが嵩む。製品の精度を上げるということはつまり分別の刻みを細かくする、ということ。「売れない筋」が、必ず出てくる。たぶん「上手いこと出せば売れる」デバイスであるはずなのに製造メーカーが少ない(ほとんどない)のにはいろいろとそういう事情がありそうだ。意外にこまっかいノウハウが必要とか。あと、ビジネスモデルが組めないのとかね。
素人の想像だけど、たぶんプロはほとんど使わないのだろう。用途がホビーユース限定とあっては、出る数量も俄然知れている。 ちゃんと設計してあれば抵抗器で済むところに敢えて単価が数十倍の CRD を使う人はいない。使用条件がルーズなように見えて実は意外とタイト。パワーLED に使用するような 数10mA〜数A 駆動にはあんまり(全然?)向いてない。どっちに転んでも「微妙」なデバイスではある。
ネット上では「CRD がどうもばらつくようなので測定してみました。結果、ほら、こんなにばらついてました。正確に 10mA を示すものは…云々」みたいに言ってるのを見かけたことがあるが、「そうですね、そういうデバイスですからねー。」としか、正直いいようがない。


要するに微妙萌え。


さて、冒頭の「格安 CRD」についてであるが、データシートはネット上で見つかった。

一応画像化してクリップしておいてみる(←何故テキスト化しない自分*4

誤植(typo)修正済み。(クリックすると原寸表示します)


…ってこのデータシート、部品図が入ってないじゃないですかー!
というわけで、蛇足ではありますが、貼っておく。刻印面正面から見て左がアノード(A)、右がカソード(K)ですよ。


1983年当時の世界の CRD 。興味深い。因みに Vishay は JFET 生産から既に撤退したらしい(2008/10)。


J557 は定電流特性値が 3.6〜5.3mA(平均で4.5mA)と、巾は広い(要するにルーズな)ほうである…が、これは言い換えるとおおよそ±20%ということであり、Vishay の J500 シリーズとスペックシート上は同等と言ってよさそう*5。また、必ずしもひとつのデバイスの電流がそれだけの巾でぶれるというわけではなく、ある 1個を取り出した際にその範囲のどこかの値を持つことが保証される、というニュアンスである。

製造メーカーは InterFET というアメリカはテキサスの企業のようで、JFET 専業という業態は珍しい…のかどうなのかはよく知らない。現在は CRD そのものは出していないらしい。(JFET を短絡すればいいだけなので、用途カテゴリとして紹介はされている。)


…まあ、ともかくだ。
性能やデバイスサイズ(石塚…じゃなかった、SEMITEC の CRD は DO-35 (最も普通なアキシャルリードタイプのダイオードと同じサイズ))、古さ、精度、…その他もろもろを無視するならば、通常 1個数十円するデバイスが 1個あたり ¥1 強で手に入ったわけで、 CRD 好きならこの気持ちもきっとわかるだろう。4mA 程度ならいまどきの LED 駆動にちょうどいいし。


CRD 好きっていうのがいるのかいないのか、そこはとりあえず考えないでおく。私以外に。



…で、どうすんのかって? 使いますよ、勿論。


因みにですけども

書いていてちょっと気になったのが「SEMITEC株式会社」という、社名。よみがなが振ってあるんでもなし、アルファベット併記でもなし。なんで? こういうのってアリだったっけ。


…と思ったら、Twitter でちょうどタイムリーなリンクが流れてきよった。

平成14年の商業登記規則等の改正により,商号の登記について,それまでできなかったローマ字その他の符号を用いることができるようになりました。

…ほぅ。
「アリ」に「なってた」んですね。いつの間にか。

*1:追記していくうちに妙に気合が入ってしまったので…

*2:そういうものがあること自体は、CQ出版のオンラインPDFで知っていた。

*3:平成23年3月:石塚電子株式会社 から SEMITEC株式会社へ社名を変更」だそうです
http://semitec.co.jp/corporate/corp3.html

*4:HTML化 してるサイトなら既にあるので一応御紹介。
http://www.htmldatasheet.com/interfet/j557.htm)
因みに表中「J557」の型番に typo がある点に注意。たぶんオリジナルから。

*5:そもそも、J500 シリーズのセカンドソース的な位置付けで製造されたと推測される

トランジスタチェッカ【DCA55】をチェックしてみた


画像は熾火研究所おすすめトランジスタのひとつ、2N2222A 。

【速報】(2012/02/21)
秋月が DCA55 の扱いを開始しました!

しかもお求めやすい ¥4,200.-也。ありがとう秋月!

…ただし、ATMEL AVR マイコンで抵抗も測れたりしちゃうのを自作した記事なんてのも出ているから、日本でも Arduino ベースで開発してくれたりする人が近いうち現れるかもしれない。…そのへんは御考慮の上で。

   (註:ドイツ語です)*1


おまけ
秋月電子さんは この 2012年02月に一気に Peak E.D.L. の「atlas」シリーズを取り揃えたようで、一部周辺アイテムを含めて日本で手軽に買えるようになったのは非常に嬉しい。

【速報2】(2013/01/27)

DCA55 の上位機種、 DCA75 が出ました!こちらでレビューしていますので、是非御参考に!
ひとことで言うと、かなりいい感じに高機能、ですが、高いよね、といったところ。(あと、高機能とはいえ簡易測定機であることにかわりはないです)


というわけで、前回ざっと紹介したトランジスタチェッカ「atlas DCA」こと DCA-55。
http://www.peakelec.co.uk/acatalog/jz_dca55.html

どの程度「使える」もんなのであろうか、というあたりを、折角入手してみた行きがかり上、非力ながら全力で探ってみる試み。

まずは…分解してみる。

…っておい。

裏面はこんな。タッピングビス 3本でとまっている。一見特殊ネジのようにも見えるが普通のプラスネジ(PH+2) → 後日訂正。「PZ2」(ポジドライブの 2号)らしいです。低トルクなので PH2 でも問題なく使えますが、慎重を期するならば「PZ2」(POZIDRIV® の #2)のビットを入手してみてください。*2
45°方向の「ひげ」が目印。
因みに電池蓋のようなものは無く、電池交換のときにはネジを外して、文字通り分解することになる。
因みに使用されているネジはおそらくインチスケール(d = 1/8"? 長さは12mm くらい。ピッチはたぶん 20山/inch? → ピッチゲージで確認しました。20山/inch でした)。日本では入手できない可能性があるので、なくさないほうが無難です。*3

奥が DCA55 のネジ。手前が日本国内で一般的なタッピングビス(3×14;2種溝付きタッピング;ピッチは 24山/inch)。ピッチも山の深さも違うので使えない。



マニュアル(User's Guide)はこんな。日本国内の正規代理店から購入すると日本語マニュアルがついてくるそうだが、後述の通り私はメーカーから直接購入したので英語版。なお、こちらのPDF と同じ内容。ソンナニエイゴムズカシクナイヨー。(←全部読んでない人間が言うな( ゚□゚))

 

開けるとこのようになっていた。
バッテリは「23A」という積層電池(12V)。日本では普及していないが民生品であり、最近では入手難度も低いので電池の心配をする必要はなさげ。…というか、かなり以前から秋月電子でも普通に販売している
基板上側に並ぶ端子は LCD(液晶)モジュール。左側、バッテリの下側にテストリードのアウトプットがあり、保護用と思われるダイオードが各リードに 1個ずつ配されている。LCD パネル以外のパーツはすべて SMD 。バッテリの上あたりが電源回路であろう。

LM2931M-5.0 は、ナショナルセミコンダクタの LDO (5V)。



頭脳は PIC16F886 。ほかに HC4051 (アナログマルチプレクサ = (切替制御による)ゲインコントロール?)が 2個、LM324 (4回路OpAmp)が 1個使用されている。私にはわからないが、きっとシンプルで判りやすい回路であろう。



基板の裏面、というかむしろおもて面。LCD モジュールと SMD のタクトスイッチ。
そして左側、「J1」というシルクのある、使用した痕跡のある端子が見える。実装後に PIC への書き込みができるようになっているのだろうか。


総じて、内部はすっきりしている。

購入に関して

予め追記:販売価格に関しては今後もかなりの変動が予想されます。ここの記述は最新情報でない可能性がありますので、充分御注意ください。

先の記事でも若干触れたが、Peak Electronics Design, Ltd. は英国のメーカーであり、主要各国に販売代理店を設定している。日本では「川島オーディオサービス」というオープンリール機器修理/販売会社。

こちらで DCA55 を購入すると、2011/08 現在で ¥10,500.- +送料(東京へは ¥840)。(※ 後日追記あり。↓もう少し先まで読んでください。)
一方、Peak Elec. でも世界に向けて通販を行っている。日本も例外ではない。エアメールで「郵送」してくれる。その場合の価格は 2011/08 現在で £34.17 + Airmail (だいたい £6 程度 → 実際は £6.94 )。いま、£1 = ¥130 ぐらいとして…えーと、ごにょごにょ。*4


……さて。
…細かい計算は各自していただくとして、単純な話、いま(2011夏)はカナーリ円高なので直接買ったほうが割とお得かもしれませんね、っていう話です。…ただし、メリットはお財布のみ。
エアメールとは言っても注文確定から到着まで最低でも数日はかかる(私の場合、正味 7日間だった)。 Priority Mail (速達的な扱い?)とは言え、途中でロストのリスクもあるわけだし、税関で理不尽にも留め置かれるかもしれない。国内代理店に注文すれば届くのはすぐだし、輸送リスクは遥かに少ない、更に日本語マニュアルもつきます。
あと、私の場合は、最初に注文をかけたときクレジットカードの不具合で先方の Bank における支払が完了できず*5、仕方なく別のカードで最初からやり直すというありがちなトラブルが発生したということも一応併記しておきます。海外通販は何かあったときにとても面倒です。(海外の人から「また阿呆の子や日本人めが」と無闇に思われるのもなかなか癪なものですよ。)
どっちがいいかは、判断の分かれるところだと思います(…と、言うだけ言っておく)。

正直なところを言っておくと、私なら、このガジェットにイチマンエンを出す気にはなれない。…でも、数千円ならば、場合によっては…というあたり、これが本音…。


【あまりあてにならない追記】
…すみませんチェックが疎かで m(_ _)m
「川島オーディオサービス」においても、(時期は不明だが)大幅な値下げが敢行されたようだ。2012/03 現在、DCA55 は ¥5,880.- +送料。


【一応ここにも追記】
なお、もう冒頭に書いたので繰り返しになるが、2012年02月に秋月電子通商が DCA55 はじめとする atlas シリーズの取扱を開始した。価格的にも充分「アリ」なところにきているので、もう購入先に関して迷う必要もなさそうである。

使ってみよう!

やっと使用してみるわけですが。
再掲になりますけども

サポートデバイス
ゲルマニウムトランジスタ、シリコントランジスタ、MOSFET、JFET、ダーリントントランジスタダイオードダイオードネットワーク、LED、2色LED、サイリスタ、トライアック

を、(どの足がどのリードでもいいので)適当に繋いで「on - test」ボタンをポチッと 1回押すだけで、判別してくれるという非常に簡便なオペレーション。とりわけ、極性を考えなくてよい(つまり、逆接とか心配しなくてよい)というのがこのガジェットの最大のウリと言ってよさそう。
(電源オフは「scroll - off」ボタンを長押し、若しくは何も操作しなければ 30秒で切れます)
反面、検査するデバイスは基板に載っていたり、他のデバイスと接続されていたり、といった状態では不可で、単品切り離されていなくてはならない。説明書には「DCA55 のテストリードにはいかなる電圧もかけてはならない(たとえばキャパシタの残留チャージようなものであっても)」というようなことが書かれている。このトランジスタチェッカは当然の機能として検査するデバイスが故障していた場合にはその疑いを示してくれるわけだが、基板に載っているままの状態では検査できないわけで、このへんがなかなか苦しいところ。
…無理もないのだが。


細かく見てみましょう。


トランジスタ
シリコントランジスタか、ゲルマニウムトランジスタか、ダーリントントランジスタか、あるいはデジタルトランジスタか、といった判定をしてくれる。判定は単純で、例えば VBE が低ければ(<0.4V)ゲルマニウムトランジスタであるといった具合。

若松通商で売っている、2SA101 。

「あってる。」…という言い方もおかしなものではあるのだが、一応「それらしい値」が返ってきているという印象。

しかし… マルツで(この為(だけ)に)購入した(といっても過言ではない) 2N3055 の場合はどうかというと。


hFE が 200を超えてる…だと?
はて。
これはどっちなんだろ、DCA55 の返す数値がどうかしてるのか、それともデバイスが所詮レプリカ的な何かなんだから hFE の値なんて Genuine と違って当然でしょって話なのか…。データシートによると 2N3055 の hFE はこんなに大きいはずがない(最大で 70 とかだったはず)。
…と思ってデータシートをよくよく見返してみると、Ic = 4A で hFE 20 〜 70 。グラフ上では 35 ぐらい*6

   

IC = 2.50mA というのは俄然グラフの範囲外だが、25℃ で HFE > 100 ぐらいはありそうなので、4A 時における「ばらつき」を考慮すれば 200 ぐらいの値が出てもおかしくはないということ*7だろうか……  んんんー。


このガジェット、自動でいろいろ測定してくれるのだが、そのコンディション(電圧・電流)は選ぶことができない。


ダイオード/LED】
3本のテストリードのうち 2本に「ダイオード的な何か」が接続されていれば判定/計測が可能。

このように、3本足パッケージで 1本 NC になっているような SMD ダイオードも問題なく扱える。(画像は秋月で購入した SB1003M3

…ただし勿論、トランジスタを解析にかけて、1本接触不良だった場合も同じ結果になる可能性があるので注意が必要。


さて、このガジェット、ダイオードチェックには有効だろうか? 結論からいうと「いまいち」だ。
一応ダイオード類(2本足)に関しては

  • Diode or diode junction(s)
  • LED or diode junction(s)

の 2つに分類がなされるが、それ以上はひとまとめである。そして更に、テスト電流が数mA (2〜5mA 程度らしい)なので、Vf の値から得られる情報も少ない。具体的には、ゲルマニウムダイオードショットキーバリアダイオードを見分けられない(シリコンダイオードとも混ざる)。

鈴商で購入した 1S188 、この結果を最初に見たときには「担がれたか!?」などと思ったが、この計測時には 約5mA が流されており、まあ、だいたいこんなものらしい。

同じダイオードをマルチテスタのダイオードチェックモードで計測してみたところこのような値に。(この際の電流は 0.41mA ぐらいであった) また、0.1mA の CRD を使用して Vf を計測したらもう少し低い値となった。
正味な話、Vf のみでダイオードの分類が完全にできるわけでもないし、特性カーブをなんとなくでも推定するためには数点の計測が必要ではあるのだが、一発で最も Vf に特徴の出やすい電流値といったら、たぶん 0.1mA 以下のゾーン、ということになろうかとは思う。 

数mA の電流ではショットキーダイオードのほうがゲルマニウムダイオードよりも低い Vf を示すことが多いようだ。画像は RK34 (40V / 2.5A)。


1つのパッケージに 2つのダイオードが入った所謂「Diode network」も判定してくれる。

ただし、3端子の IC をテストするとこれらに判定されるケースもありうるので要注意。また、故障したり機能低下したトランジスタがこれらとして判定されることもあるそうだ。



そして、ごっちゃになると最も苦労する、つまり、簡単に判別できたらとても助かる「その他のダイオード」、CRD (定電流ダイオード)と ZD (ツェナーダイオード)を DCA55 にかけるとどうなるのか。結論を先にいうと「やっぱり…いまいち」。
まず、CRD 。肩特性電流の低いもの(実測では 3mA より小さいもの)に関しては、普通のシリコンダイオードとして判定される。それより高い電流値のものは、「Unknown」と返ってくる。

画像は「標記電流値」 15mA の CRD (石塚 E-153)。
やはり CRD は 5〜12V 程度の LEDテスト用定電流電源か何かでほどほどの電流を印加してやってテスタで計測するしかないかもしれない。
ツェナーダイオードはすべて普通のダイオード or LED として判定される。ツェナー電圧の低いものはテスト電流(2 〜 5mA 程度らしい)に応じた Vz 的な数値が Vf として表示されるようだ(標記電圧よりも若干低い値になる∵電流が低めだから)。従って、通常のシリコンダイオードよりも高い Vf 値が出た場合には、ダイオードの刻印と併せてツェナーダイオードであると判断することが可能かもしれない。一方、概ね 3V 以上の Vz を持つツェナーは、 DCA55 ではみため普通のシリコンダイオードと変わらない結果になるので、ツェナーかどうか知ることはできない。

画像は秋月で売ってた Vishay の BZX85C12 (12V 1W)※ I-01003


LEDについては、繋いでポン! で極性も Vf もわかるかんたんなチェッカーとして DCA55 が有効に機能する。チカチカっと点灯もするので、点灯チェックも同時にできる。 …ただし! 一部の青色・紫色・白色 LED に関しては、DCA55 は「Unknown」を返す。

概ね Vf > 3.0V の LED がこういう仕打ちを受けるらしい。

取扱説明書にも記載されている「仕様」なのだが… 残念。 非常に残念。
また、Vf の低い赤外線 LED (< 1.5V)は「LED」と判定されず、普通のダイオードの扱いを受ける。発光しているかどうかも、勿論わからない。(ただし、見た目でだけでは区別のつきにくい赤外線ダイオードの発光素子と受光素子を計測によって見分けることが可能ではある。発光側→「Diode」、受光側→「No component detected」または「Unknown/Faulty component」(← 受光状態により変化する))


3本足の 2色LED も正しく判定してくれる。また、日本ではあまり見かけないが(というか、LED を逆接するという前提のそういうデバイスがあっていいのか?とか思うのだが)2個の LED 素子を並列に逆接したかたちの 2線式 2色 LED というものも存在するらしく、これも判定し、それぞれ Vf など表示してくれる。

2本の LED で擬似的にテストしてみた。
確かに昔、「2線式信号機」って LED 2個 並列に逆接して作ったことあるけど、小学生のおもちゃだからねぇ、あんなものは…

こんなもの↑↑↑…(なつやすみのこうさくにぴったりだね!)※ 参考にした書籍の作例では LED ではなくシリコンダイオードと豆球を使用していました。念の為


【FET】
FET は、この DCA55 が割と有益に機能するデバイス群と言っていい気がするが、いかんせん私が FET に詳しくないのでレポートは散漫になる。
さしあたり手持ちで既知の(死蔵している、とも言う) FET をざっくりテストした結果はすべて「正しかった」。
実績としては、千石電商ジャンク袋に入っていた「6N10」というデバイスがネットで探したデータシートと併せて Enhancement type N-ch MOSFET であることを確認できた。足の極性を一発解析してくれるのは楽でいいし、データシートとの照合の手がかりのひとつとなる。
 100V 6A
壊れやすいと言われる MOSFET を破壊する心配なく(…たぶんね)調べられるのは非常によい気がする。

JFET (と、Depression type MOSFET)に関しては IDSS も判るとよかったのだが、流石にそれは無理か。

画像は 2SK210 (鈴商)。SMD → 万能基板でリードタイプに強制変換。


【その他のデバイス
当然正しい結果は返ってこないとわかってはいるが、比較的身近な、あるいは、なんだかよくわからなくなりがちな「3本足たち」などを、いろいろとテストしてみた。(まあ、正直実りある仕事ではないよね。それははじめから判ってる。)

  • フォトダイオード(フォトトランジスタ
    • 残念ながら「No component detected」または「Unknown/Faulty component」となるようだ。…ただし、ものは考えようで、デバイスを蛍光灯などの光源に近付けて「Unknown」、遠ざけると「No component」となるようであればそれはフォトデバイス[受光]として正常に機能している可能性が高い、ということである。
  • 三端子レギュレータ
    • あんまり画像で紹介してもしょうがない気がしてきたのでざっくりと結果だけ列挙してみる。
    • LM317 → Three terminal bicolour LED
    • 7805 → LED or diode junction(s)
    • AZ1117H-ADJ → Common anode diode network
  • 電圧リファレンスIC
    • μPC1093 → NPN digital transistor
      因みにベース抵抗入り(一般的には)の所謂「デジトラ」は DCA55 では「デジトラですよ」と言うのみ。
    • LM336-2.5 → 

      Vf は 2.52V と 2.62V 。この値をどう見ればよいのかは不明。
  • リニア温度センサ
    • LM60CIM を試したところ、2-3ピン間が Vf = 3.60V のダイオードであるという結果が返ってきた。
      何故敢えて SMD ? というような質問には答えません。
  • リセットIC
    • MN1280*8をテストしてみたところ、「Series Network Diode」と判定された。
      畢竟、DCA55 にとっては、3端子 IC は鬼門である。
  • ホール素子
    • 素性のよくわからない 3端子のホール素子をテストしてみたところ、「Sensitive or low power thyristor」及び「3線式 2色 LED」と表示された。


      いずれにせよ、正しい判定は期待できない。

注意点とか、総評的なもの

テストリードに付いている ICクリップは比較的しっかりした作りではあるが、先端が太いため、SMD (表面実装デバイス)をそのまま挟んで計測するのは困難を極める。そもそもリードデバイス用のガジェットなのであろうが、SMD こそ「謎のデバイス」になりやすいのだから、ここはもう少しなんとかならないものだろうか、という気はする。
結局、SMD は、SOT223 や SO252 などの大型以外は変換基板に貼りつけてテストした。

といった次第で、接触不良には注意。リードタイプデバイスにしても、接触抵抗で hFE などの数値が大きく狂う可能性はあるし、最悪、異なるデバイスであるという結果を返すかもしれない。ポンと出てきた結果が「まっとうか、否か」を判断しにくいのは、何でも来い的なガジェットの宿命ではある。


今回は特にテストできなかったが、デバイスの故障診断にも DCA55 はある程度効力を発揮してくれるはずである。予め調べておいたか、若しくは定格の判っているデバイスに関して、数値が大巾に違ってきていればデバイスの劣化を疑っていいということだ。 …ただし、基板上のデバイスはテストできないから、どうにかして基板から外さなくてはならない。


実際に未知のデバイスをいくらかテストしてみて思ったのは、この、 DCA55 によって得られる結果だけでは、そのデバイスを使うにしても使わないけど品番特定はしたいにしても、いま一歩「届かない」感はある。まず、調べようがないとはいえ、「絶対定格」はわからない。絶対定格のわからないデバイスは使いづらい。どうせ電池電源の小信号回路でしか使わないから平気だろう…ってケースならば……いや、汎用品でいいんなら、素性の知れてる新品を使うよね。


テストのコンディションをユーザーがコントロールすることができない点も若干不満が残る。例えば、半導体について判断する上で非常に有用な指標となる Vf (← っていう認識であってますよね?)は、流す電流によってかなり変化する。食わせる電流によって得られる情報は違ってくるわけ。勿論、流しすぎれば半導体はあっけなく壊れたりするわけで、これを防ぐためにはもう最初っから微弱電流しか流さないような設計にしておけばいいじゃん、となるのは当然の帰結ではある。万能でお手軽なガジェットの方向性としては間違ってはいない、でもやはり、折角ここまでできてるんだからあともう少しいろいろできて欲しい、という欲目はある。


各数値の測定精度について言及するのは、対照実験をして評価できるほどの設備も根性も生憎と持ち合わせていないので割愛するが、「そもそも」数値を云々するほどのガジェットではないと考えたほうがヨサゲな気がしている。あくまで参考程度、というか、デバイスを特定する手がかりのヒントぐらいの位置付け。正確に計測したいのであれば「ちゃんとした」ジグと機器が必要なのは言うまでもない。
DCA55 が「ポケットに入るワンボタン系ガジェット」であることを考えれば、印象論としては「そこそこいい数値を返してくれているんではないだろうか」という感触は得た。(定性的ですみません)


…などと言うとりますが
多少の「行き届かなさ」を感じる部分はあるとは言え、多くの場合微小電流を供給する電源とテスタ、リード線、クリップ、場合によってはブレッドボード…を準備し、考えながら最低限慎重にテスト回路を組まないないとできないテストを 1台でサクっとやってくれる DCA55 は、確かに便利である。…これに数千円を投資するべきか、否か、という問題を別にすれば、ではあるが。




ジャンクパーツが(いくらか)陽の目を見る(…かもしれない…) 因みに画像は千石ジャンク袋にごそっと入っていたツェナーダイオード(2.7V)。

…というよりむしろ

どなたかこれ、 Arduino で作ってくださいませんか。

おまけ

折角なので、キャリングケース的なものをあてがってやることにする。
メーカーサイトには、こんなような純正ケースつきの限定モデルもあるようだが…

これ、ケースに入れたまま使えるようなデザインだったらもっとよかったのにね。


私は百均で見繕ってみたよ。


この他に、文具コーナーなどでもそれらしいケースを探せそうである。今日日のデジカメは小さいのでアレだが、古いモデルのものならばデジカメケースも流用できるかもしれない。


…って、どこに持ち運んで使うのかは不明。


【こちらにも追記】 PSP のキャリングポーチがちょうどいい! とりわけ PSPgo のケースは「あつらえたんじゃないか」と思う程度にはピッタリサイズ。ただしぴったりすぎて予備電池やオプション品を入れる隙間が無い。
PSP のケースをワゴンセールなどで安く売っていたら Peak Atlas シリーズ用に調達しておくのもいいと思います。

たまにこんなのが ¥200 で手に入ったりします @秋葉原

*1:via https://twitter.com/#!/morecat_lab/status/167969064407412737

*2:cf. http://chitei.blog108.fc2.com/blog-entry-220.html

*3:IKEA で販売している木ねじセットの中に流用できそうなものがあるかもしれない。
http://www.ikea.com/jp/ja/catalog/products/50224229/
ただし運良く径やピッチが合っても先端をカットオフするなどの細工は必要。どなたか試してみてください…(^_^;)

*4:【後日追記】(2011/08/22)
クレジット明細が来て実際の購入金額が判明しました。送料込みで ¥5,325.- でした。たぶん月極レートかなんかが採用されてるんでしょう。2011/07/18 時点で £1 = ¥129.539 だそうです。…けち。

*5:なんでも、(クレジット)請求書の送付先(要はクレジット会社)と商品の送付先の国が異なると決済できないとかで、…って何それって感じだったのですが、どうやら S●NYファイナンスという会社がナニカやらかしてくれてるようで、ともかく「駄目」なようでありました。
…で、セゾン系は無問題だったらしく、あっさり通りました。

*6:ネット上で見つけた STマイクロの 2N3055 データシート(via )には IC - HFE のグラフは無かったが、オンセミのデータシートにはあった。

*7:因みにオンセミのデータシートに記載されている「Small Signal Current Gain (Ic = 1.0Adc, VCE = 4.0Vdc, f = 1.0kHz)」項(=パルス駆動時の値)によると hfe = 15 〜 120 。こちらの値と比較してみても、209 という数値をどう見るかはいささか微妙なところな気がする。
更に因むと、コンプリメンタリペアとされている MJ2955 (一緒に買った)は hFE = 110 (@IC = 2.50mA)と出ました。…ま、このトランジスタを数mA 領域で使用するどあほうはいないと思うので、この結果だけでは何かを評価することはできないと思いますが。

*8:Voltage detector (4.2V)
http://www.semicon.panasonic.co.jp/ds4/MN1280__J_discon.pdf

これ欲しい!【Trチェッカ DCA55】【LCR40 の画像もあるよ】

【後日追記】レポ書きました!(だらだら長いですが)
http://d.hatena.ne.jp/OkibiWorksLabo/20110813/DCA55
要は次エントリ

【更に追記】(2012/02/21)
秋月が DCA55 の扱いを開始しました!

おねだん的にもなかなか魅力的なところを突いてきている。
詳しくは 次エントリ にて。


(っていうかこのエントリもう要らないな…(´・ω・`))

というか、一体全体、どういう仕掛けで実現してるんでしょ?


何がすごいって、デバイスの種別自動判別・極性自動判別。
リード線を適当に繋いでボタンを押すだけ。

サポートデバイス
ゲルマニウムトランジスタ、シリコントランジスタ、MOSFET、JFET、ダーリントントランジスタダイオードダイオードネットワーク、LED、2色LED、サイリスタ、トライアック

これは本当にこんな万能なら、相当に魅力的ですよ。
電源が 23A (※単5 サイズ 12V 積層電池)なのがちょっと気にはなるが、…こと私に関して言えば、秋月でいつでも買えるから関係ないか。ふふふ。


…って言っても、ジャンク袋に入ってた「3本足」を調べるぐらいにしか使わなそうな気もするな…私の場合… orz


でも、
これだけの機能をマイコンで実現してるんだとしたら…
どなたか Arduino でつくってください!


因みに Trチェッカというと

「そんなもの普通に安いテスタについてるじゃん」っていう人もいるかもしれません、はいそのとおりです。所謂「hFE チェッカ」でよいのであれば、例えばこんな按配に。

でもこれはトランジスタだけだし、デバイス判定はしてくれないし、極性も自己責任で。


日本における販売代理店

「川島オーディオサービス」というところらしい。こちらの URL が正式?

通販はフットワークがいまいちよくなさげ。ショッピングカートもないし、小物(消耗品・交換部品)の扱いもしてない。送料も、いまどきこれはちょっと無いよね…


で、もうちょっと調べてみた

ネットを手繰ってみると、使ってみている人も何人か既にいるようだ。そうした声で共通しているのが「国内代理店よりも英国のメーカーサイトから直で買ったほうが安いよ (・∀・)」というもの。なるほど!

2011/07/16 現在でいうと、送料(通常AirMail)込みで £41.11 でいけるらしい。£1.00 = ¥140.00 としても、¥6000 しない計算ですね。現レートを正直に適用してくれるならば、国内代理店の半額。ほむほむ。

つまり、ちょっとそこそこのテスターぐらいの価格で手に入る。

意外といいかも?

やはり、仕組みが知りたいという気はする。

仕組みについては、取扱説明書(※ PDF 注意)を眺める限りにおいては、割と素直な処理をしているのではないかという印象。一定の判定基準に従って検索樹を辿っているっぽい。微弱定電流電源用意して、テスタ繋いで、結果をにらみ合わせて、繋ぎ直して……という手間を考えると、まあとにかく、ものすごく楽だし、便利だ。原理とか知らなくてもいいわけだし。
素子を壊さないための配慮がどうか、という点が、ブラックボックスなのでいまいちわからないが、電圧も電流もガンガン流さなければ(基本的に、数V・数mA までしか流さないからたぶん大丈夫だよ、的な感覚で)問題ないだろう、という設計思想なのかな。結果出力できるのも小信号用のもの限定なのだろうな、という風情。
精度さえ気にしなければやはりマイコンでいける予感。…だが、真面目に考えていちから設計すると結構大変そうだ(というか、めどい…ものすごい勉強にはなりそうだけど)。


あと、これも気になりますね。

このシリーズは筐体とか基板外形の金型を共通化することでコストダウンを実現してるのかな。


【後日追記】…というわけで。

届きましたっ!(o・ω・o)

後日レポートします! 【2011/07/27】→ しました!(こちら) 【2011/08/13】

【更に後日追記】秋月で買いました!

LCR40(LCRメーター)、秋月に入荷したので慌てて買って来ましたよ。

私が手にしたのも秋葉原店で最後の 1個だったらしい。(2012/02/26 現在で)他のアイテムも結構品切れになってるようだが、おそらく一時的なもの。今後、定期的に入荷するものと思われる。(予想外の人気があるのは、正直嬉しい。)


ざくざくっと画像だけー。





これもおもしろそう。いろいろ遊べるね。


内部はこんな。部品点数は DCA55 よりもちょっと多い。

普通のマルチテスタよりもコンパクトなので携帯にも便利。ざくざくっとオンサイト(現場)使用するのにはよいだろうと思う。

LED腕時計つくったよ!

とりあえずの続報にてスミマセン:
なんと ATMaga328P 搭載モデルが 2012/01/17 に登場しています。

こちらはなんとオープンソース。そしてワンチップ。…これは熱い!

http://www.sparkfun.com/products/10870

…惜しむらくは、基板の色。SparkFun カラーなのでしょうがないのでしょうけども…。
【2012/03/24 追記】

最近 [misc] タグばかりが増えているような気もしないが。…しかたない、メイン企画のほうがどうもなんとなく滞っているので、キットを何の節操もなくノーマル組みしてレポートし、お茶を濁しておくテスト。

よいキット続々

国内外を問わず、最近おもしろい電子工作キットが次々と生み出されている。たぶんそんな中のひとつ、「腕時計キット」が SparkFun で扱われ始めた。

これはおもしろい。
LED腕時計というとロシア(旧ソヴィエト連邦)製のものが思い出されるが、いまではバングル型のアイテムを中心として、なかなか安価で気軽なモデルも結構出ているようだ。そんな中でも、プリント基板のデザインを生かしたアクリルベゼルの腕時計、しかも組み立てキット…。これは一部 某クラスタにうける。…飽くまで一部に限られるが、一部には確実にうける。


国内でも販売しないかなー。


…と思っていたら ”SparkFun 商品はなんでも取ります!” というスイッチサイエンスさんが速攻対応。

思わずポチッていた。


…とか思っていたら、早速来た。 速い、速過ぎるよスイッチさん!


【後日追記】

日本橋のシリコンハウスさんでも扱い開始(2011/07/15)。

早速つくってみるよ。


基板はこんな。



使用されている LEDモジュールと IC (プログラム済 PIC, RTC)。
LEDモジュールは 残念ながら秋月で最近販売されるようになったものとは違うタイプのようだ(サイズやピン数も異なるので差し替えできない)。
…と思ったら、SparkFun で LEDモジュール単体販売もしているようだ。日本国内ではストロベリー・リナックスさんが在庫を持っている。

   
   

赤色の他にがある。青は電圧の関係でこのキットには使用不可だが、緑と黄色は Vf が同じなので差し替え可能だ。やった!


…作業に戻ろう。


実際の作業は、プロジェクトサイトに載ってる手順に従えばよい。

説明書は付いていない。
英語がわからなくても(というかいちいち読まないでも)写真だけ見ていけば充分わかるので、小学生でもできる。
部品点数は少ないし、部品の取り違えも起こりそうにないほど単純なので(抵抗 3本は全て 10kΩ とか)、特に難しいところはない。はんだ付け段階で気にすべきところがあるとすれば、7セグメントLEDモジュールを さかさまに付けないよう気をつける、というところだろうか。あと2個のICも向きを間違えないように。(でも正直そんなところだ。)
てなことを言っているうちに、サクっとコア完成。ゆっくり確認しながら 30分ほど。

意味はないけれど、積層セラミックキャパシタは手持ちのもの(青い)を使用してみた。世界の MuRaTa 。特に深い意味はないのだけど、なんとなく黄色いキャパシタをとっておきたかったので(← そっちかい!)。
時刻を点灯させると、こんな按配。

びがーん。
…といっても、点灯するのは 3秒間だけ。
基板裏面にあるパッドに はんだジャンパを施せば常時点灯にできるが、電池がすぐなくなるだろう。

基板の裏側には RTC (リアルタイムクロックIC)からデータを取り出したり、PIC からゴニョゴニョしたりするためのパッドが用意されている。…しかし、機能的にカスタマイズできる内容はほとんどない。表示も、24時間制表示もできないし、点灯時間の延長などもできない。やるとするならば、PIC を再プログラミングするしかないと思うが、いずれにせよ時計側に操作ボタンが 1個しかないので搭載できる機能は限られるだろう。…そう、これは飽くまでシンプルな「腕時計」だ。


さて、完成を急ごう。もたもたしてるほどのものでもない。


このキット製作で、場合によっては最も難しいかもしれない工程、それが「アクリルの保護シール剥がし」(笑)。 その実、結構剥がれにくいので、勢い余ってアクリルパーツを割ったりとか、割らないまでも、傷つけたりとかしないよう、充分気をつけよう。
(そうでなくてもこのアクリルパーツは細工がこまかいので破損しやすい。)

せっせと剥き中。

【後日追記】 (2012/01/05)
アクリル板の保護シートは水に 1分ほど浸けるだけで綺麗に剥がれるらしいです。これから製作する方は、お試しあれ!

スイッチ部分の細工は、なかなかよくできている。嵌合も悪くない。
付属のネジを締めるには、トルクスの No.10 を使用しよう*1(こういうときにこそ、気の迷いで買ってしまったマルチドライバー的なジャンクツールが日の目を見る)。あるいは、2.5mm のマイナスドライバーを使うか、さもなくばペンチ(プライヤー)でつまんで締める。いずれの場合も、相手がプラなので締め過ぎないこと。適当な道具が見当たらなければ、別に指で締める程度でも全然構わないぐらいである。 なお、ミリスケールの六角レンチ(アーレンキー)は使えない( 2mm では噛まず、2.5mm は入らない)。
因みに付属のネジは ISOねじ(ミリネジ)ではないので換装する場合には注意(当然、紛失にも注意)。おそらくインチネジの No.4 というサイズ。長さは 約10mm 。
この、アクリル板を必要枚数積層してケースにするアイデアは、小型のガジェットにはいろいろ応用できそうでヨサゲかもしれない。…た・だ・し! NC だとかレーザー加工機だとか、プラスチック精密加工のできるマッシーンが自由に使えるならば(+ CAD で図面が引ければ)、の話ではあるが…。


というわけで、あっさりと完成。


まあ、でかいでかい聞いてましたが、…ものすごく…大きい…です…(おいやめろ)



というわけで、市販の腕時計では「そのサイズ、阿呆か」とか、「おまえはそれをつけて何に変身する気だ」とか、「それ持ってると、どこの秘密戦隊と通信できるんだよ」とか散々に言われがちな(…そんな言われねーよ) CASIO PROTREK (PRW-1000J)とサイズ比較。…すると…あーら不思議。そんなにばかでかくないような気がしてきたでしょ?


…すみません、充分にでかいっすね。
因みに直径は 60mm 、厚さは 12mm (※最大突起部含まず ← これが言いたかった



さて、ありあわせではあるが、昔 PROTREK 用に作ったベルクロバンドをつけてみた。両面タイプのベルクロなら無加工で使用できるし、自作するなら 20mm 巾のベルクロと、プラスチック製 角カン、あとはスーパーX のような接着剤があれば簡単に自作できる。
全部手芸店にいけば入手可能。 好きな色のバンドをつくってみよう。
または、自転車用すそバンドが無加工で使えたりする。 あるいは「通しタイプ」の腕時計バンドなら既製品がそのまま使用可能(※ 巾 20mm 以下、分厚くないものに限る)。そういうのを探してみるのも、いいかもしれない。

作ってみての感想などをば

とにかく簡単。はんだ付けもしやすい。ちょっと手先の器用な子なら、なんの問題もなく完成できるであろう。きちんとはんだづけして、きちんと組めば、設計通りきちんと収まる。なかなか気持ち良い。 ただ、出来上がるものが相応に「おもしろい」かというと、んー、ちょっと肩透かしを食らうかもしれない。一担組み上げたその後、たとえば 置き時計に改造するとか、別の何か自作ガジェットのクロック部に仕立てるとか、応用するにはいい素材かもしれない。
…まあ、その為には、せめて外出し用のピンヘッダブースがあるとか、クレードルに乗っかるような設計になってるとか、そこまで詰めて欲しかった気はする。アクリルベゼルの完成度がなかなか素晴らしいので、これを改めて弄る気にはなかなかなれないというのが本音。



あとまあ、言うまでもないことを敢えて言っておくならば、防水性は皆無。清々しいほどに、防水性は皆無。油断しがちな部分だと思うので、気をつけたいところである。くどいようだが、大事なことなので何度でも言っておこう、防水性はまったくもって皆無である。




透明ベゼルが涼しげで、夏の工作にはよいですね。


夏休みの工作にするには…ちょっと簡単すぎるかな?
女の子ならペンダントに仕立てたり、缶バッジみたいな使い方をするといいかも。
男の子なら電源を工夫したり、スイッチを改造して手を叩くとつくように…とかどうだろう。



そんなわけで、この意味不明な時計を シタリ顔で腕に付けてるやつが秋葉原とか山手線車内あたりにいたら、それはたぶん高確率で私ですので、餌を与えたり威嚇したりしないように気をつけてください。

*1:ほんとはインチスケールのアーレンキー(3/32")というべきところなのだろうけど、持ってないですよね、普通。ていうか私は持ってません。